ニートに対するネット上の批判について

あなたがインターネットをよく利用するのなら少なくとも一度はネット上でのニートに関する書き込みを見たことがあるだろう。

「ニート」という概念は今や多くの人々に注目されており、多くの人々がそれについて語っている。

たとえば2006年に行われたgooリサーチと日刊工業新聞社による共同企画調査<第22弾>「ニート・フリーターに関するアンケート」によれば調査対象者の80.5%もの人がニートは社会にとって問題であると答えている。

ニートは社会にとって問題か?という問いに対する答えの分布

出典:ニート・フリーターに関するアンケートより引用

ネット上での書き込みの多くはニートに対して否定的なコメントが多い。

ニートの人々はこれにどう受けとめ、対処すればよいだろうか?

あなたは「ニート」という言葉でネット検索を行う。どんな目的で検索するのか?自分のような人間がどう思われているか気になる、どうしたらいいのかわからないから行動の指針をネットに求める、などの理由が考えられるだろう。

そこである人物が書き込みをしているのを見つけた。

A氏「ニートは怠け者である」

ここで問題だ。

この文章から我々は一体どのような情報が得られるのだろうか?

少し話が脱線するが平成29年度版 子供・若者白書によると2016年の15~39歳の若年無業者数は77万人だ。これは一見多い数字に見えるが15~39歳人口に占める若年無業者の割合はたったの2.3%にすぎない。

つまりだいたい平均すれば50人中1人が若年無業者である。社会全体で見ればほんの僅かな存在なのだ。

ニートというのは職業を持たず、学校にも行っていない人々を指す言葉である。おそらくだがそのほとんどは社会との関係が希薄で、人と関わる機会は非常に少ないと思われる。

ネット上にはニートに関する言説が溢れるほどたくさん存在する。しかしそれ自体の数の少なさや社会関係の希薄性から考えると多くの発言者はそもそもニートとほとんど関わりがなく、見たことがないという人も多いのではないか。

そしてニートが他のニートと関わることも少ないであろうと推察されるため彼ら自身がニートについて分かっているかというとそれも疑わしい。

本題に戻ろう

A氏「ニートは怠け者である」

という文章から確実に言えることは何か?

それはA氏が書き込みをしたその瞬間はニートは怠け者であると思っているということだ。彼の頭の中にはニートは何もすべきことをしていない人という印象が形成されている事であって、実際のニートがどうしているのかという情報は何一つわからない。

多くの人はニートについて語っている時、自分はニートについて語っていると思っている。だがほとんどの場合彼らは自分自身について語っているのである。

・ウィトゲンシュタインの物差し

「書評は本そのものよりも書評を書いた人のことをいろいろと描き出す。私はこの仕組みをウィトゲンシュタインの物差しと呼んでいる。物差しでテーブルの長さを測っているとき、とても信頼できる物差しでなければ、同時にテーブルで物差しの長さを測っていることになる。」

「まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」著者:ナシーム・ニコラス・タレブ、p.271より引用

ニートに限らず、ネット上にある多くの書き込みのほとんどは誰だかよく知らない人の信念、憶測である。多くの人は「ニート」という言葉を使って自分の人生観、労働観について語っている。

そんな大量の書きこみを見てあなたにはどんなことがわかるだろうか?世の中にはいろんな人がいるという事ぐらいだろう。

ネット上にはたくさんの情報や知識が存在するように見えるが、実際のところほとんどそこには何もないのだ。そこから人生の指針のようなものが得られるはずがない。

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